(つづき)
この連載の一番最初、①の投稿で、私はサブタイトルをこう付けました。
「 『飲食業界』の話ですが、実際は、『あらゆる市民生活』に関わるかもしれません 」
これはどういう意味だったのか。
タイトルだけ付けておきながら、この件には今まで触れずに話を進めてまいりましたが。
café Kobutaのオープン準備をしていた6月初旬、耳目を引くニュースが飛び込んできました。
「ユニクロが、今秋、フリースを1000円値上げの予定」
これを聞いて、驚かれた方もいたでしょう。それは、いくらなんでも…と。日本の全国民の中には、なんだそりゃ!ふざけんな!くらいに思われた方も、けっこういたかもしれません。
しかし私は、そのニュースを目にした瞬間、思いました。
「そうそう、それ!その感覚なんだよ、今のこの値上がりの脅威は!」
ここまで書いてきたとおり、昨年から始まり、今年3月から加速し始めた、広範囲にわたる物価上昇。その本当のインパクトは、4月、5月の時点のような、カップラーメンが30円値上がりします、というような次元のものでは、おそらくありませんでした。私には、これから秋冬くらいにかけて、きっと大変なことになっていくぞ、という直感がありました。
柳井正は、やってくれました。その判断を。
あの時点で、秋以降にはそれくらいの幅の値上げをしないと、手遅れになると、おそらく確信したのではないか。でなければ、あの時点であんな発表は、できないと思います。
どうせそのころ(秋以降)には、そういう世界が訪れている。当社はお客様のことを考えて極力値上げはしません、などとは、言っていられない。やるか、やられるか。To do, or not to do. That is the question.
そういう判断だったのではないかと、私には思われました。
どうせそういう状況が訪れたとき、その次元にまで値上げしなければならないのだとしたら、ならばせめて、できるだけ早くに、公表しておいたほうがいい。そのほうが、お客様にとっては、心構えが今からできる。当社にとっても、むしろ、わかっている情報は先に出しておいてくれてよかったと、印象悪化を最小限にできるかもしれない。
そんな考えが、ユニクロにはあったのではないか。勝手な想像ですが、私はそう思っています。
秋以降、日本社会の物価の状況がどうなっているか、程度の度合いについてははまだ振れ幅がありそうですが、現時点で入ってきている経済ニュースを見ている限り、やはり想定していた方向性には、間違いなく向かっていると感じています。
そのとき、一体何が起こるのか。
(つづく)
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