(つづき)
しかし、です。
デリ業態を終了させることを決心したからといって、
ではそのまま、とんかつ屋再開します、でよいのか。
それは自分の中では、ありえませんでした。
おそらく今とんかつ屋に戻したところで、それですぐにお客様が来てくれるようになる、そして商売として成り立つ、とは、とうてい思えませんでした。直観的に、それは確信していました。
最初のうちは、やっと再開してくれたのね、と来てくださる方は、いるかもしれない。
あるいは、デリ商品をいつも買っていたから、ぜひ店内で食べてみたかったのよ、といらしてくださる方は、いるかもしれない。
もしそうだとしたら、それはとてもありがたいことです。
しかし私には、それがいつまでも安定的に続くとは、どうしても感覚的に思えませんでした。感覚的とはいってもその根拠はいろいろあったのですが、いずれにしても、経験からくる直観は、そんな希望的観測は抱くべきではない、と告げていました。
とんかつ屋というカードは、私の最後の切り札です。拙速にそのカードを不準備なまま切ってしまって、うまくいかなくて、手持ちの札がなくなってしまうことだけは、なんとしても避けなければならないことでした。
社会状況が変わり、人々の意識が変わり、生活スタイルが変わった今、もともと、元のままの形のとんかつカンティーヌに戻すことは考えていない、ということは、過去にお知らせしたとおりです。
(当店HP, 店主ブログ, 2022年5月7日および5月9日の投稿)
経緯として見ればとんかつ屋に「戻す」ですが、
事実上は、今このタイミングで新たにとんかつ屋ビジネスを「開業する」という状況にある限り、
今の社会の形、市民生活の形、求められている形に合わせた店にしなければ、そこにおいて最も付加価値がある店にしなければ、意味がない。
そのことに関して、次回の構想「とんかつカンティーヌ+(プラス)」のコンセプトについて公開することとなったのは、5月にブログに投稿したとおりです。
(店主ブログ, 同上)
その構想は、頭の中では、実は今はけっこうクリアーに出来上がってきているのですが、
それでも、まだ最後に、パズルのピースが足りない。ピースが足りないというよりも、それをすべてはめ込んで、今デリ業態終了のその直後に、リリースすべき状態では、なかったのです。
デリ業態を続けるわけにはいかない。かといって、すぐに「とんかつカンティーヌ+」を始めるわけにもいかない。ならば、どうするか。
私は第三の道について、考えていました。
(つづく)
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