(つづき)
さらに、です。
春にコロナ不安が落ち着き、行動制限がなくなり、社会が動き出し、繁華街や週末の行楽地には完全に人出が戻ってきたように、一見、傍目には見えながらも、
実際のところ、3月以降に急回復が見られたかと思われた飲食業界全体の数字上の業績は、コロナ以前の8割くらいまでにしか回復せず、そのまま足踏みをしていたのです(そしてその状況は、現在(7月末)でも続いています。直近では、感染再拡大によって、また客数が減少に転じているようです)。
私の、個人的な感覚で言うと。
もし自分に家族があったら、とか、もしもう少し自分が若くて一緒に遊びに行けるような相手がいたら、
外出できそうな雰囲気になってきた、旅行も行けそうな空気感になってきた、久しぶりに週末は遊びにいこう!近場で日帰りから一泊くらいの旅行しよう!
とはたぶん思ったでしょうが、
じゃあ夜、行きたかったあのレストランにも行ってみよう!飲み会もやろう!
とは、おそらくならなかっただろうと思ったのです。
飲食業界の回復8割止まり、という現象は、その自分の心理と、かなり合致しているように思えました。
家族や友達と、外出をする。小旅行をする。
そうすると、繁華街、行楽地、観光地は、もちろんにぎわいます。
そして、その地で、じゃあ、お昼を食べよう、おやつを食べよう、という行動には、なります。昼食やおやつタイムの外食です。
でも、まあ、早めに切り上げて、うち帰ってゆっくり休もう。夜まで外食は、まあ、必要ないでしょ。なんかそういうふうに、この2年間で、気分とか考え方が、変わったよね。
こういうことが、ありえそうな気がしていたのです。夜の外食需要は、依然としてしばらくは、回復しきらない。
そういう予想をしていると、経験的に、飲食業界全体で8割までしか回復していない、という数字は、かなりリアリティを映し出しているように感じました。
今までどおりの飲食業のビジネスモデルなんて、そのままでは通用しない。もう、社会は変わってしまっているんだ。きっとアフターコロナ時代にはそうなっていくだろうと、予想していたとおりに。
こんな状況のときに、「そろそろコロナ収まってきたんで、とんかつ屋はじめまーす!」とは、とてもではありませんが、考えるわけにはいきませんでした。
(つづく)
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