(つづき)
「とんかつカンティーヌ+」がどんな店になる予定なのか、
そこにたどりつくまで今まで考えてきたこと、
そのように考えるに至らしめた背景、
それらをこれほどの時間をかけてまで、なぜ公に説明する必要があると考えたのか、
恐るべき長さの連載となりました(笑)。
ここまでの文章をお読みくださった方には、本当に、心からの感謝を申し上げます。
すべて通してではなく、断片的な読み方であったとしても、
「いくら説明責任の問題とはいえ、それを1から100まですべて文章にして公開する」という、
こんなとんでもない試み(笑)をご理解いただけたということは、こんな小さな飲食店の事業主としては、身に余るほどに有り難いことです。
そして、この21話にわたるすべての連載、あるいはさらに、その前の「カフェ業態を始めた~〜」の連載からのすべてをお読みくださった方には、
さらにそれを上回るほどの、最大限の感謝の思いをお伝え申し上げます。
今当店は、崖っぷちにいます。そしてあるいは、多くの他の飲食店も、多くの他の業界も、同様の状況にあるのかもしれません。
それらみんなが、これから、健全な形での成長の道を見いだせるのか、あるいは崖に向かってゆるゆると走り続けるのか、ほとんどそのどちらかしかないような、分岐点にいるように感じています。なんとなく、まあ可もなく不可もなく、トントンで続けていける、という形が、難しくなってくるような気がしています。
この状況にあるときに、もはや事業主が何をできるかと考えたら、ひとつには、まずもちろん、ちゃんとした仕事をすること、ちゃんとした価値のある事業を、真摯に続けること。それが何より第一です。
そしてまたもうひとつには…「理解してもらうこと。理解してもらった上で、支持してもらうこと。」
これしかないのではないか、とも、思ったのです。
近隣の方から、支持され続ける店であるためには、何が必要か。
もちろんそれはひとえに、「信用」です。
「信用」を得るためには、何が必要か。
そう考えたら、もう、自分という人間は、すべて、さらけ出してしまおう、と考えたのです。
持ち玉はすべて、投げきってしまう。
それを、どれだけキャッチしてもらえるか。打ち返してもらえるか。
あるいは、グローブ(野球の)を向けられることもなく、スルーされてしまうか。
最初はボールを受けてもらえていたけど、だんだん、なんだかこの球種イヤだな、と思われるようになって、スルーされることになってしまうか。
いろいろな可能性が、ありうると思いました。
しかしいずれにしても、何もボールを投げなければ、何も気づかれないままで、何も知られないままです。
まだ終わらないコロナ禍、物価の高騰、それに伴う生活の見直し、今後の人生設計、と、
皆が皆、生きている上で、考えること、不安なことは、山ほどある、今のこの時勢です。いち飲食店のことを意識している余裕なんて、そうそうないはずです。
そんなときに事業主の側が、今どんな状況にあって、今何を考えて、これから何をやろうとしているか、主体的に発信しなければ、どのみち、気づかれず、知られず、忘れ去られて、いつのまにかなくなっていた、という結果に陥るだけです。
この行為が、果たして信用を得ることに、つながるのか。それはわかりませんが、持ち玉をすべて投げて、信用を得られないようだったら、どちらにしても早晩、信用は失われるでしょう。もし仮に、ボールを投げる前に、何らかの信用を得ていたとしても。
しかし少なくとも、ここまでの文章をお読みくださった方に対しては、無条件に最大限の感謝をお伝えすることに、何も問題はないと思っています。
本当に、心の底から、ありがとうございました。
とんかつカンティーヌ+は、10月から、始動する予定です。おそらく私が描いた悪いシナリオが、ピークを迎え始める時期、あらゆる消費者ビジネスにとって、正念場が始まる時期。
そこのタイミングであえて、勝負を仕掛けます。
そのときに、「お金を使うべき対象」として、選ばれる存在となれるかどうか。それが、私の器の、試金石になると思います。
それまでは、機会があったときには、ふとお気軽に、café Kobutaをご利用いただけたら、幸いです。
ここまで、本当に本当に、ありがとうございました。
(終)
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