とんかつカンティーヌの、これから~ ⑱市民のとっての「外食」の価値は、どうなるのだろうか

(つづき)



このようにして、我々一般市民の、生活全般におけるコストパフォーマンスの感覚が、直近の数カ月間で、大なり小なり、揺さぶられることになるのではないか。


つまり、


今までの「1,000円くらいの予算でランチを食べたら、まあだいたいこんな内容で、これくらいの満足度というのが、自分にとっての相場」という感覚が、そうではなくなる。


1000円でランチ食べたけど、なんだか、しょぼく感じた、


とか、


1200円近く出してランチ食べたけど、以前の1000円くらいのランチと、同じくらいの内容でしかなかった、


とか、


以前は3000円である程度食べて飲んで、まあ満足という感覚でいられた行きつけの飲み屋で、同じ感覚を得られなくなった、とか、いつもと同じくらいの飲み食いだったのに、4000円近くかかった、


とか、あるいは外食以外の場面で、


週末にスーパーでだいたいいつも同じくらいの買い物をしたらいくらくらい、という感覚でいたら、いつのまにか、なんだかわからないけどいつもより1500円くらい多くかかるようになっていた、


とか。


おそらくそういうことが、あちらこちらのいろいろな場面で、起こるようになってくるのではないか。


前回の投稿で書いたように、これからは、それが「適正な価格」であり、「適正なコストパフォーマンス」になっていくのだと思います。しかしそれを感覚的に平常なものとして受け入れるようになるには、ある程度の時間が必要のような気がします。


ここで起こる、一般消費者の「消費選別」…お金の使い方の選別、という判断は、⑮番の投稿で書いたような、あらゆる業種、あらゆるビジネス間における競合関係という状況を、大なり小なりの意味において、引き起こす。


この予想が、⑨番の投稿で以下のように書いたことの、意味でした。


「飲食業界とかいう限定的な世界ではなくて、消費者市場、消費者行動全体が、一段階、横滑りするような――そしてそこから、滑り落とされ、ふるい落とされてしまうビジネスが、続出しかねないような――そんな時代になるかもしれない」。


とはいえ、前にも書いたように、日本でそれが一気に倒産続出の大不況、みたいな状況にまでつながるとは、個人的には思っていません。


とりあえず目下で一番、日常生活において微妙でありながらも明らかな変化を感じるような分野、そして優先的に「選別」を考える分野は、やはり食べることに関すること、となるように思います。一番身近で、毎日発生することなので。


1000円を予算限度額としてランチを考えるとき、人はどんな形のランチを選ぶか?


3000円前後でなるべく満足できる食事をしたいと考える日に、人はどんな場所で、どんなものを食べることを選ぶか?


6000〜7000円かかってもいいから、それを払うに値する食事がしたい、と期待する場面で、人はどんな店を選ぼうとするか?


折しも、多くの一般市民は、コロナ禍を経験したことで、今まで外食費、特に「望まない飲み会代」みたいなものに支払っていた対価(お金)の意味を、考え直したのではないかと思います。


そして工夫して、家庭でも、満足感のある、幸福感のある、食事をできること、演出できることを学び、


テイクアウトやデリバリーという手段をミックスして、手間と価格と内容をバランスさせる手段も知ったはずです。


そしてそれを一生懸命がんばって考え、実践した、多くの女性の力、


その労力を(もしかしたら初めて)知り、自らも努めてその女性をサポートするようになった男性、


それらの行動変容と感覚の変容は、「食べるもの、食べることに対して、どのくらいのお金をかけるべきか、あるいは、かけざるべきか」という考えに、すでにある程度の変化をもたらしていたのではないかとも思います。


そしてまた一方では、「これ以上は、家庭では無理だ。これ以上の満足感や特別感を得たいなら、やはりちゃんとしたお店に、食べに行くことには意味がある。」という、外食の本当の価値をも、見直すきっかけが生じたのではないかとも思います。


これから、飲食業界、というか、より正確に言うと、「家庭の外で食べる場」を提供する業界は、厳しい競争にさらされることになるように思いますし、


また同時に、


本当に価値あるものを提供できる事業者は、しっかり立ち位置を確保して、健全に生き残ることができる、という時代に入っていくことになるのかもしれない、という可能性の中に、わずかな光明を見出してもいるのです。


(つづく)

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